■基本方針 |
子どもたちが正しく健やかに育っていくゆたかな教育環境を醸成するために・・・ |
・ |
家庭と学校と社会とが、その教育の責任をわけあい、そして各々力を合わせてPTA活動を行う。 |
・ |
保護者会員、教職員会員、またその他の会員は平等の立場で参加し、会の運営にあたっては民主的な運営に努め、単位PTAの規範となる運営を心掛ける。 |
・ |
PTAが「社会教育団体」であることを改めて強く自覚し、現代的教育環境の変化(核家族化、少子化、 DX 、ダイバーシティとインクルージョン教育などを含むがこれに限らない)を見据えた問題意識をもって各事業を推進する。 |
(解説)
わが国憲法の第26条には、その第一項で「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する」とあり、続く第二項で「すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ」とあります。
第一項は、子どもを含めた日本人だれもが自分たちが求める教育を受ける権利を保障しているものですが、第二項はまさしく私たち子を持つ親が果たすべき義務を規定しています。すなわち「親は子に教育を受けさせなければならない」と。
ここで「教育」とは、学校で行う教科教育だけではなく、家庭で行う家庭教育、社会全体で行う社会教育も含まれます。私たちは学校で教わる教科科目だけで人格が形成され、社会性を育み、他者を感化する力を培うわけではありません。親が子をしつけ、住まう地域のちいさなコミュニティに参加することでそれら(品性高い人格・和をもって尊しとなす社会性・思いやりからほとばしる感化力など)を身に着け、そうした個人・家庭の集合の結果がよりよい社会をもたらすのだと思います。
しかしながら、現代は、教育は行政が市民に施す「サービスとして消費の対象」となっている風潮があります。どんなささいなことでも学校に「管理責任」を求めたり、就業時間外に電話してもつながらない事に苦情を言ったりと。また、忙しい、面倒だ、やりたくないなどのオトナの自己都合でPTAを脱退したり、PTAそのものを解体してしまったりした例もあります。
本来PTAは、社会教育を担う団体です(社会教育団体)。資源回収やベルマーク事業では循環型社会の実現を学び、旗振り事業などでは地域の安全は地域で守ることを学び、年間予算の使い道などをみんなの協議を経て決めていく過程を通じて民主的運営を学びます(民主的運営は、我が国の運営方法の根幹でもあります)。またPTAは、そうした社会教育を実現するために必要な施策・対策などの意見を集約し、しかるべきところへ届け、よりよい社会教育環境を実現する機会も有しています。
そうした機能発揮を期待されているPTA組織について、その事業の在り方や参加形態を巡って忌憚のないさまざまな議論はあってしかるべきですが、PTAそのものに「参加しない」あるいは「解体する」ということはすなわち、「教育」の3要素のうちのひとつ「社会教育」機会の放棄にほかなりません。
社会教育とは、(子どものみならず)成人教育の場でもあります。より良い保護者・先生であるためには、自ら学びや研修に励む必要があります。より良い大人であることが、子どもたちの健全育成のためには大切なことです。PTAは「社会教育団体」として、大人に対しても、子どもに対しても「人づくり」「地域づくり」「絆づくり」といった役割を果たさなければなりません。
そのために取り組むことや必要な資金について計画することなどを、地域の仲間たちとどのように合意形成し、予算・事業を執行し、諸手続きや諸事業などの改廃を重ねつつも、社会教育団体としての活動を連綿と続けていくにはどうすればよいか、それこそ「民主的手法」による議論と合意形成プロセスが大いに機能発揮されるところです。それらを誰かに委ねるとしても、まずは参加(在籍)してから委ねなければならないのが民主的なプロセスです(このようなプロセスから脱退するということは、反対・賛成の意見を言うことも、改善を求めて意見する機会も持てなくなる、ということです)。
一方で、私たちPTAが社会教育団体としてその職責を果たそうとするとき、少子化(とりわけ都市部での児童数減少)、DXの進展(というより学校におけるIT化の遅れ)、ダイバーシティやインクルージョン教育への理解と対応など、教育環境のトレンドや移り変わりのメリット・デメリットにも目を向けながら、様々な事業を組み立てていく必要があります。とりわけ、いわゆる「コロナ禍」は、私たちのライフスタイルに大きな変更を強いてきました。「コロナ禍」によって人びとの間の絆が断たれ多くの共同体、コミュニティに分断の感染が蔓延しました。それでも、私たちは地球上の食物連鎖の最頂点に君臨する社会的生物として連帯することをあきらめてはならず、叡智を集めて工夫を凝らし、社会教育団体として持続可能な事業の展開に挑戦していかなければなりません。
子どもたちが正しく健やかに育っていく豊かな教育環境を醸成するために、速度を増す教育環境変化への対応を怠らないようにしながら、立場や価値観の違いを尊重したうえで共通目的を見出すことができる民主的プロセスを重んじ、私たち市P連は、それぞれの責任の違いを認識しつつも、互いに力を合わせることで互いの責任が果たされる組織でありたいと願っています。
|