ひとりで抱えなくていい
大変なときに、いちばんの相談相手になってくれたのは、小学校の校長先生や担任の先生、そして支援学級(ゆうあい学級)の先生たちでした。体のことや学校生活の不安を、その都度いっしょに考えてくれる存在が、いつもそばにいました。
学校の外では、特別支援学校に通うお母さんたちのグループ「ロリポップ」が大きな支えに。小さな頃から一緒に子育てをしてきた仲間だからこそ、地域の学校に進んだあとも、お互いに情報交換をし合える関係が続いています。クラスのママたちも、「チカちゃんが同じ中学校にいないなんて、うちの子が『なんで?』って言うよ」と、何気ないひと言で進路を後押ししてくれました。
そうした人とのつながりに支えられながら、石川さん自身も、仲間たちとともに医療的ケア児支援センター「やっほ」の立ち上げに関わってきました。「自分の子どものためだけじゃなく、次の子たちの安心な居場所につながれば」と願いながら、親たちが気持ちを持ち寄れる相談先を、少しずつ形にしているところです。
つながりが支えになる
『同じように進路や子育てに悩んでいる保護者に伝えたいのは、「障がいの有無より、“どう育てたいか”を一緒に考えてくれる仲間は、どの場にも必ずいる」ということです。特別支援学校か地域の学校か――でくくられがちですが、子育ての価値観が近い保護者はどの場所にもちゃんといて、その人たちとつながれると、毎日がぐっと楽しくなります。』
『一方で、就学前に相談できる場所が少ないことも感じています。入学前はまだ「その学校の子ども」ではないから、学校側もどうしても踏み込んだ相談には応じにくいところがあります。でも実際に入ってみると、先生たちはとても大切にしてくれて、「そんなに焦らなくてよかったんだ」と思えることもたくさんありました。だからこそ、行政の窓口だけでなく、PTAや、先に地域の学校を選んだ保護者とつながれる場があったら心強いなと思っています。』
『地域の学校を選ぶにしても、特別支援学校を選ぶにしても、「家族だけで決めて背負い込まないこと」。同じ立場の仲間と話しながら、「うちはこっちを選ぼう」と納得して決められたら、それがいちばんだと感じています。』
親が笑うと、子どもも育つ
石川さんの気分転換の方法は、『できるだけ普通のことを、思いきり楽しむこと』。ひとりでふらっと映画やイベントに出かけたり、友達と旅行やコンサートに行ったり、ロリポップのママたちとフラダンスのステージに立ったりそんな時間を大切にしています。
『チカが踊れない分、ママが踊ってるんだよって思っていて。人間ひとり育てるのに、親が暗くなってたら育たないでしょ。まずは自分が楽しむこと』と笑う石川さん。自分の心をちゃんと満たすことが、明るく子育てを続けていくためのエネルギーになっています。
お話をうかがって
医療的ケアや進路の選択と聞くと、どこか「特別な世界」の話のように感じてしまいがちです。けれど石川さんのお話の端々には、友だちとのおしゃべりや運動会の笑い声、PTAでの雑談や相談など、私たちと変わらない「暮らし」が流れていました。
「生きていてくれるだけで十分」「ハードルは低めでいい」という言葉は、医療的ケアの有無にかかわらず、すべての保護者に届くメッセージだと感じます。完璧を目指すのではなく、ときどき自分も楽しみながら、困ったときには先生や仲間に「ちょっと聞いてもいいですか」と声をかけてみるーーそんなあり方でいいのだと、改めて教えてもらった気がします。
この記事が、そんなふうに肩の力を抜いてもらえる小さなきっかけになればうれしいです。
聞き手 令和7年度高崎市PTA連合会 情報委員会
取 材 2025年10月27日

